調和のとれた噛み方

噛むことの大切さ

噛むということは消化を助けることです。噛むことによって、反射的に唾液が分泌されて口の中を浄化したり、消化を助けたりします。さらに、歯肉や口の中の皮ふを強め、舌の血液の流れを促進したりします。

だから、噛んで食べるということは、口の中の衛生の保持と体の健康維持に、非常に重要なのです。

したがって、噛まなくてすむような柔らかい物を好んで食べたり、長い間病床に伏していて流動食ばかりを食べている人には、ムシ歯や歯周病が多いというわけです。

反面、固い物を好んで食べる人、筋のある物を食べる人には、ムシ歯や歯周病が少ないようです。未開国の人に、ムシ歯や歯周病が少ないのはこのためです。

噛み合わせが悪いと・・・

歯は上下で28本、親知らずを入れると32本。噛む力は、歯の根の太さや生える方向、歯の形によって違ってきます。歯の噛み合わせが悪いと、どうなるのでしょうか。

まず、骨や歯根膜や歯の根のまわりにあるセメント質が破壊され、歯周病の原因となる細菌が侵入しやすくなります。そうして、骨、歯根膜、セメント質の破壊をいっそう促進させます。そして、やがては歯周病となって、歯もグラグラと動きだします。それがさらに歯の噛み合わせの不調和をひどくさせるという悪循環になります。

こうしたことが重なり合いくりかえされることによって歯周病は進行していきます。だから、物を食べる時には、調和のとれた噛み合わせ、噛み方をすることが重要となってきます。

調和のとれた噛み方とは

物を食べる時には、歯の上に加わった力が、まっすぐ歯の根に加わるような噛み方が好ましいでしょう。しかし、垂直な力だけでは噛めません。そのために歯を横にすりながらすりつぶします。つまり、歯の噛む面は、垂直な力と水平な力がミックスして加わります。この水平な横の力に歯根膜と歯のまわりの骨は弱いようです。噛み合わせが不調和な時には、特にひどい1、2本を調整して、全部の歯で助け合うようにして全体を調整していきます。

リズムよく噛む

調和のとれた噛み方をするには、リズムをつけることが必要です。

1本の歯でも抜けてしまったり、グラグラ動いてきたら、噛み方のリズムは狂います。痛いとか、噛みづらいとかで、抜けたところや動く歯を意識的にかばおうとするからです。

特に歯周病になって、多くの歯が動いている状態では、噛み方はまるっきり以前と違ってきます。歯を支えている組織が破壊され、力がだんだん入らなくなるからです。それを長くしていると、骨はおろか、歯根膜や筋肉までもが衰えてきます。脳への伝達もにぶくなってきます。そのうちに顔に張りがなくなってきたり、あげくの果ては老化と呼ばれるようになります。

偏食はNG!

調和のとれた噛み方をするためには、食べ物を選んで食べてはいけません。特に歯周病が進んでくると、食べやすいものだけを選んで食べがちになります。

偏食をすると、 自分の歯に適応した噛み方しかできなくなります。好きな物だけを食べていると、食べ物の種類がだんだん減り、もう食べられるものがほとんどなくなったという時には、すでに重症で手遅れとなります。