歯周病辞典

歯や歯周病(歯槽膿漏)に関する用語集です。

あ行

エムドゲインゲル

スウェーデンのビオラ社で開発された新しい歯周組織再生誘導材料。エムドゲインゲルの主成分は、子供の頃、歯が生えてくる時に重要な働きをするたん白質の一種で、歯周外科手術の際に、手術部位にエムドゲインゲルを塗布することにより、歯の発生過程に似た環境を再現します。

か行

緩衝作用 かんしょうさよう

歯垢(プラーク)中のムシ歯菌が作り出した「酸」を中和する働きのこと。唾液の中に酸を中和する物質(炭酸水素イオン)を多く含んでいると強い緩衝能を発揮し、再石灰化を促進させます。

クラウン

歯を覆うかぶせ物のこと。

嫌気性菌 けんきせいきん

酸素のないところで繁殖する菌。歯周病菌がこれ。

好気性菌 こうきせいきん

酸素のあるところで繁殖する菌。

さ行

再生療法 さいせいりょうほう

歯周病に用いられる療法のひとつ。歯周病の外科的手術の際に「歯周組織再生誘導材料」使う療法のこと。この材料にはエムドゲインゲルなどがあります。

再石灰化 さいせっかいか

歯を構成しているカルシウムやリンなどが酸によって歯から溶け出し、これをくりかえすとむし歯になります。しかし、口腔内には唾液中のカルシウムやリンを沈着させて元に戻す働きがあり、これを再石灰化といいます。

歯垢 しこう

口の中の細菌が、砂糖の過剰摂取はブラッシング不足などにより、ネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっついたもの。プラークとも呼ばれます。歯垢1mgの中には10億個の細菌が住みついていると言われ、むし歯や歯周病をひき起こす。歯垢は粘着性が強く、うがいをした程度では落ちません。

歯周炎 ししゅうえん

骨や歯と骨が接合している繊維(歯根膜)まで炎症が進んだ場合。歯肉は赤紫色となり、歯と接している歯肉がぷよぷよと腫れ、退縮します。ブラッシングで出血や膿が出ます。歯と歯の間が広がり、食べ物もよく詰まります。

歯周病 ししゅうびょう

歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが破壊される病気。

歯周病菌 ししゅうびょうきん

歯周病を引き起こす細菌のこと。ポルフィロモナス・ジンジバリス、プレボテーラ・インターメディア、アクチノバシラス・アクチノマイセテムコミタンスなど10種類以上がわかっています。

歯周ポケット ししゅうぽけっと

歯と歯ぐきの境い目。

歯石 しせき

歯にこびりついた歯垢が石灰化して硬くなったもの。歯の表面に強固に付着します。歯石はブラッシングでは取り除くことはできません。

歯槽骨 しそうこつ

歯肉の中にある歯を支えている骨。

歯肉炎 しにくえん

歯肉にのみ炎症が起きた状態で、骨には影響がない状態。歯肉は赤みを帯び、歯と歯の間の歯肉が丸みを帯びて膨らんでいる状態。ブラッシングで出血します。

スケーリング

歯石を除去すること。

成人型歯周炎 せいじんがたししゅうえん

一般にいう歯周病はこのタイプ。40代後半から50代を過ぎたあたりではっきりとした症状がでてきます。

早期発現型歯周炎 そうきはつげんがたししゅうえん

発症年齢が10代から30代と低い歯周炎。発症した後は急速に進行して4-5年で約50%の歯周組織が破壊されるといわれています。そして、ここ数年の研究によって、早期発現型歯周炎の患者さんは大半が「A・a・菌やP・g・菌」という細菌に感染していることがわかっています。

た行

脱灰 だっかい

食事や間食により、虫歯菌が酸を生じ、この酸によって、歯垢内のpHが低下して酸性に傾きます。歯垢内のpH が低下して酸性になると、歯のエナメル質からリン酸とカルシウムが溶け出します。これを脱灰といいます。

糖尿病 とうにょうびょう

インシュリンというホルモンが不足することから起きる病気。インシュリンが不足すると、体の中の糖を吸収する力が弱まるため、糖は血液の中に入り、尿に混ざって排泄されてしまいます。歯周病と関係の深い病気のひとつ。

な行

乳酸桿菌 にゅうさんかんきん

虫歯菌のひとつ。ラクトバチラス菌とも言います。乳酸桿菌は虫歯を進行させる菌です。多い方は砂糖の摂取量が多いか、大きな虫歯があったり、歯に合っていない金属が入っている場合があります。

は行

バイオフィルム

歯周病菌などの細菌が集まってつくられるフィルム状のかたまりのこと。とくに歯周病菌は酸素を嫌う性質があるため、酸素の少ない歯と歯グキのせまいスキ間などで盛んに増殖し、歯茎の炎症を引き起こします。適切な処置をせずに放置しておくと歯周病菌の巣であるバイオフィルムがますます巨大化し、炎症が進行してしまいます。

PCR法(polymerase chain reaction) ぴーしーあーるほう

ポリメラーゼ連鎖反応法。菌種を調べる方法。のDNA(遺伝子)を増幅して調べる。

ポケット

歯と歯肉がはなれてできるポケット状の溝のこと。歯周ポケットともいう。

補綴 ほてつ

歯を削ったところや抜歯した部分へ詰め物・かぶせ物をしたり入れ歯を施したりすること。

ま行

ミュータンス菌 みゅーたんすきん

虫歯菌のひとつ。ミュータンス菌は歯面に強く付着し、多くの糖から多量の酸を作り菌をとかします。また強固な菌のため、糖が食物として供給されなくても菌体内に蓄えた多糖体から酸を作ることができます。

ら行

ルートプレーニング

根の表面がざらざらしたり、歯石で満たされていたり、毒素や微生物で汚染された表層を除去する方法のこと。